心が新鮮なうちに動く

「ちゃんとって、いつ来るんだろう?」

気がつくと、そんな問いを自分に投げかけていることがある。

「第一段階が整ったら」「もう少し準備ができたら」と思っているうちに、次の段階は確かに少しずつ見えてくるけれど、それでも「完璧にちゃんと整った状態」なんて、結局いつまでもやってこない。

だから私は、「とりあえず動く」を選ぶようにしている。

「ちゃんと決まるまで動けない」という人は多い。

私も昔はそうだったので、気持ちはとてもよくわかる。

いったん決めたら、それは完璧で揺るぎないものでなければいけない気がしていた。

でも、どれだけ頭の中で考えても、それは想像に過ぎない。

頭の中の世界は、ちっぽけで独りよがり。

動いてみて初めて、「あ、こんな感じなんだ」と実感できることばかりだ。

昨年の冬から挑戦したRYT200のヨガの資格講座もそうだった。

正直、万全の準備を整えてから申し込んだわけではない。

時間や体力、仕事や家のこととの両立を考えると不安もあったし「やるならもっと計画を立ててから」と思おうと思えば、いくらでも先延ばしにできた。

でも、気持ちが新鮮なうちに申し込んだ。

走りながら考えるつもりで、一歩を踏み出した。

結果的に、始まってからも「やっぱり大変だ」と思うことがたくさんあった。

真冬の真っ暗な朝に、モゾモゾと起床すること。

シークエンス(レッスンの流れ)を考えてフィードバックを受けること。

常に筋肉痛なこと。

でも、実際に動き始めてから見えてきた景色が、本当に多かった。

「これは思った以上に体力が要るんだな」とか、「一緒に学ぶ人の言葉が励みになるんだな」とか。

頭だけで準備していたら知り得なかったことばかり。

同じ一週間を過ごすなら、机に向かって完璧な計画を練るより、仮でもいいから動いてみるほうがずっと進む。

これは心理学でも、行動することで不安や思考の堂々巡りが和らぐといわれている。

「行動活性化」という考え方があって、気持ちが整うのを待つより、小さく行動するほうが感情も整っていく。

だから動いているほうが精神的に安定する感覚は、単なる気分ではないと思う。

そして何より、動いたという事実が自分を支えてくれる。

完璧でなくても、「やってみた」という証拠が心に残り、自分への小さな信頼になる。

「とりあえずやってみる」は無責任な放り投げではない。

むしろ、動きながら微調整していくための大切な前提だと思う。

だから私は、決めることを恐れすぎないようにしている。

とりあえず、やってみればいい。

一度決めて動き始めれば、その先に答えが待っているから。

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