最近、「ライター養成講座ってやらないんですか?」と聞かれることが続きました。
「同じような感性で書ける人がいたら頼みやすいのに」とか、「同じようなライターになりたい」と言ってくださる方もいて、本当にありがたく、嬉しいなと思っています。
でも、今のところ「ライター養成講座」を開く予定はありません。
私が大切にしたいのは、“型”や“スキル”ではなく、人の奥にある想いや、まだ言葉になっていない感情をすくい取っていくプロセス。
そこには、マニュアルでは伝えきれない「感性」の部分がとても大きく関わっています。
そして何より、全員が“私のように書く”必要はないと思っているんです。
営業スタイルも、届け方も、言葉のトーンも、人それぞれ。
だからこそ、「こう書けばいい」ではなくて、“自分の感性で、自分の言葉を見つけていく”ことを、私はこれからも大切にしたいと思っています。
AIの力と“自分を通る言葉”の違い
そんなふうに考えていたタイミングで、ここ数日、AIと向き合う時間が続きました。
正直、とても便利です。構成も整っているし、言葉のバランスもきれいで、作業スピードも驚くほど速い。
「これはすごいな」と思う一方で、ある違和感が残りました。
それは、「自分で考える前に、答えが出てしまう」という感覚。
人って、「早く答えがほしい」「正解が知りたい」という気持ちを持ちがちです。
でも、AIの便利さは、その欲をどんどん刺激してしまう危うさも持っています。
たとえば、AIが出してくれた構成に沿って資料をつくっても、どこか“自分を通っていない”感じがしてしまって…。
現実的には作業が進んでいるのに、自分の中には何も積み上がっていない。
うまく仕上がっているのに、自分の資料だという実感が持てない。
そんな状態になっていました。
言葉に宿る“自分の温度”
私は普段、クライアントさんにコピーを提案するとき、すごく緊張します。
「この言葉で本当に伝わるだろうか?」
「もっとぴったりの表現があるんじゃないか?」
と、何度も書いては直し、一晩寝かせてまた見直します。
そうやってようやく、「これだ」と思える言葉にたどり着いたとき、やっと安心して提案できるんです。
その過程があるからこそ、自分の言葉を信じられる。
“誰よりも考え抜いた”という自負だけが、最後の最後で、自分を支えてくれます。
だからこそ、言葉を仕事にしていない人でも、自分の気持ちを表現するうえで「自分で考える時間」はとても大切で、むしろこれからの時代、ますます重要になってくると思うんです。
“正しく整えること”ではなくて、「今の私」が「今の言葉」でしか表現できない一瞬の感情や想いに、触れられること。
それが、書くことの本質ではないでしょうか。
伝えるために、まず自分を知る
「自分をどう表現するか」と考えると、つい見た目や肩書きに意識が向きがちですが、本当に大事なのは、“自分の内側をどう見つめているか”。
私が大切にしたいと思っているのは、
・感性を磨くこと(何を美しいと感じるか、何に心が動くかを知る)
・自分の個性を深く知ること(比べるのではなく、ナチュラルな自分を知る)
・情報に飲まれすぎないこと(考える時間を持ち、深め、広げる)
・多様性を受け入れること(人それぞれの表現を認め、自分の感性も信じる)
・体感から得たものを、自分の言葉で表現するスキルを育てること
言葉を通して、自分の気持ちや想いを届けていくには、自分自身と丁寧に向き合うことが欠かせません。
迷って、考えて、書いて、直して…そのプロセスの中にこそ、伝わる力が宿っていると思うんです。
整いすぎた言葉よりも、ちょっと不器用でも自分の温度がにじんだ言葉の方が、人の心には届く。
自分自身も磨きつづけていきたいと思います!