人生のターニングポイントでキッカケとなる「言葉」をくださる方が、これまで生きてきた中でたくさんいて、その「言葉」がふとした時に脳内をめぐります。
その「言葉」たちは、その時はピンとこなかったものもあって。
歳を重ねることで重みを増している「言葉」もあります。
中学3年で進路を決める時、父が私に話してくれた「言葉」も、まさに重みを重ねている「言葉」です。
中学生の私がなりたかった職業
当時、私は美容師さんになりたいと思っていて、中学卒業したら専門学校に行ってそのまま就職したいと思っていました。
学校の成績は良い方で、試験はいつも学年で5位以内。
「専門学校に行きたい」と伝えた時の困惑した先生の表情は、今でも鮮明に記憶されています。
母親はもちろん大反対。「なんで高校に行かないのよ!」と激怒。怒っている母親の話を反抗期の私が聞くわけもなく、普段は寡黙な父と話すことになったのです。
父はゆっくり話したい時、家から少し離れたロイヤルホストに連れて行ってくれて、その時もロイヤルホストでトロピカルアイスティーを飲みながら向かい合って座っていました。
なんで美容師になりたいの?
高校卒業してからでも専門学校に行けるよ。
なんなら、大学卒業してからでも行けるんだよ。
そんなことを一言二言話したあと、私の本心を見抜いたのか、
わざわざ、自分の将来の選択肢を狭める必要はないよ。
何になりたいかを知るために大学に行ったっていいんだよ。
大学に行っても、まだ美容師になりたかったらなればいいよ。
そんな話をしてくれました。
実のところ、「美容師」になりたいというのは、私の中では仮置きの「夢」だったのです。
急いで大人にならなくたっていい
当時、早く大人になりたい、自立したいと思っていた私。
そのためには働くしかないけれど「なりたい職業」が思い浮かばず、なんとなく興味があって、身近だった「美容師」という職業を「夢」に当てはめたような感覚でした。
それが、本当の夢ではないと悟ったお父さんは、真っ向から反対するわけでもなく、美容師という選択を否定するわけでもなく、ただこう言ってくれたのです。
選択肢は広く持っておいた方がいい。
わっ・・見抜かれてる・・
と思うと同時に、スッと私の中で腑に落ちて、
・無理して大人にならなくていいんだ
・「社会を知る」ためだけに進学することもありなんだ
そんな風に感じました。
父の実家は下町で会社を経営していて、大学卒業後はそこに就職した父。
その後、倒産して定年まで一部上場企業に勤めていました。
母の実家も商売をやっていて、大学に行きたくても行けなかったと聞いて育ってきました。
だからこそ、子どもには自由な選択肢を持って欲しいと思って育ててきた両親。
一方で、「目的もなく進学するなんてできない」と思い込んでいたの私がいたのです。
未来の正解は1つではない
その後、大学まで進学し、3社勤め、フリーランスとして活動している今があります。
何度も迷ってたどり着いた今だけれど、「選択肢を広くもつ」という言葉のおかげで、いつも正解は1つではない感覚があり、しなやかに生きていける自信となっているのです。
変化の激しい時代の中で、「選択肢を広くもつ」ことは私の人生の中でも大きな価値観となっています。
子どもの習い事を検討する中で、ふと脳内にめぐってきたお父さんのこの言葉。残しておきたくて書いてみました。
皆さんのキッカケとなる「言葉」は何ですか?^^